オートフォームジャパン
代表取締役社長からのメッセージ

お客様各位 ニュースレター読者の皆さま   2024年も残りわずかとなりました。振り返ると今年は年が明けてすぐの1月1日に能登半島地震が発生し、2日に羽田空港での航空機衝突事故という非常に痛ましい大きな災害と事故があり、どのような1年になるのか不安を感じざるを得ないスタートとなりました。自民党の新しい総裁の誕生すぐ後に行われた10月の衆議院選挙では、与党が過半数を確保することができずに今後の政権運営の安定に不安を残す結果となりました。残念ながら、私たちの生活に関わる政策課題の解決がどのように進むのかが非常に不透明な状況です。変化が激しく、先の読めない時代になっていると言われて久しいですが、ビジネス面だけでなく生活面においても、将来の不透明さを実感する年であったように感じます。   皆さまに多くの製品をご採用いただいたおかげで、今年もオートフォームジャパンは大きな成長を果たすことができました。日頃よりAutoFormをご活用いただいている皆さまに、心より感謝申し上げます。 成長の原動力は、OEM、Tier1、さらには材料メーカーの方々によるAutoForm製品の採用の増加です。新興EVメーカーの台頭もあり、NEV (New Energy Vehicle)というキーワードが示すように、さまざまな選択肢が消費者に提案されることで、消費者の興味も多岐にわたり、その移り変わりも速くなっています。今まで以上に消費者ニーズを反映させた商品をいかに早く市場に投入できるかが、OEMの競争結果を決定する要因の1つとして重要になっています。そこで、BiWやプレスの領域でも各OEMにおいてリードタイム短縮が経営の重要テーマとなり、新たな材料やBiW構造への挑戦を達成しつつ、従来に比べて開発期間の短縮が必須となっています。そこには、OEMだけでなくTier1や材料メーカーをはじめとしたサプライヤーの提案力が求められ、SE強化が大きなテーマとなる中で、AutoFormの採用が進められたと理解しています。成長率を製品別で見ると、新しい製品である、AutoForm-Assembly製品の次に、素早い製品形状の検討や新しい工程案の評価を可能とするAutoForm-DieDesignerの躍進が見られ、これがトレンドを示しています。   今回のお客様事例のコーナーは、通常のAutoFormの活用事例ではなく、激動の自動車産業を生き抜く鉄鋼メーカーとして、現在をどのように捉えているのか、そしてその中でどう戦っているのかを、JFEスチール株式会社の飯塚様と飛田様にご協力いただき、インタビュー形式でお考えを掲載しています。単に材料を供給するだけでなく、衝突安全、軽量化を実現するための設計支援、成形性を向上させる工法提案、寸法精度対策、接合技術などをトータルでご提供されています。このように新車開発の初期段階から体系的なソリューションでOEMを支援し、さらに顧客との共同研究を推進する施設が機能することで、まさに顧客のパートナーとしてのポジションを確立していることが印象的でした。先の見えない大きな変化の中だからこそ、オートフォームジャパンもお客様である皆さまに難題を乗り越えていくパートナーとして認めていただけるように、SE強化のお手伝いにとどまらず、さまざまな課題に今まで以上に対応できるよう努めなければならないと実感しました。 飯塚様、飛田様、インタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。   来年秋にはユーザー会を開催いたします。皆さまのお考えや事例を共有していただきながら、ユーザー様同士の交流の場となることを願っております。2025年も引き続き簡単ではなく、むしろ今年以上に厳しいビジネス環境が続くことが予想されています。日本経済の根幹である製造業の皆さまとご一緒できていることを誇りに、これからも成長してまいりたいと思います。   本年も格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございました。少し早いご挨拶となりますが、皆さまとご家族のご健康を心よりお祈り申し上げます。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。   オートフォームジャパン株式会社 代表取締役社長 鈴木 渉

オートフォームジャパン代表取締役社長からのメッセージ

今回のニュースより配信システムを変更しました。今後、過去の配信記事などアーカイブで確認できるようにしたり、ご興味を持っていただいているコンテンツの内容を分析したりしながら皆さまにとって、より価値を感じていただけるものとして参りたいと思います。今後もご期待くださいませ。     日本は2023年のドル建ての名目GDPで、ドイツに抜かれ4位に転落しました。また2026年にはインドに抜かれ5位に落ちることが予測されています。GDPは経済成長を示す指標の1つですから、データの裏付けのある疑いようのない事実として日本経済が他国に置いて行かれていることが認識させられます。このGDPはドル建てでみていることもあり、為替の影響も大きく数値に反映されるため円安に責任転嫁することもできますが、果たして本当にそれだけが原因であると結論付けて良いものかという疑問も浮かびます。そもそも人口が3分の2のドイツにGDPが抜かれるということは、圧倒的に1人あたりの生産性が低いことを表しており、日本はドイツの60%に満たない労働生産性でG7最下位のポジションが指定席になってしまっています。さらに、少子化の傾向は何十年と改善することなく、政治で議論されている異次元の少子化対策が機能するのかは不透明な状況です。有効な打ち手が無いまま、少子化が続いてきた結果、労働力不足は見ぬふりのできない社会課題となっています。2024年問題を迎える運送業だけでなく、その他の産業、もちろん製造業にとっても死活問題になりかねない状況になってきました。  冒頭から暗い話になってしまい申し訳ありません。ただ事実を直視したうえで、私たちが「何をすべきか」「何をしていくことができるか」を考えることが希望のある将来を作る1歩であるとの考えから、まずは私たちを取り巻く環境に関してあらためて確認をしました。    AutoFormを成形シミュレーションと定義すれば、(当たり前ですが)シミュレーションに過ぎませんが、もう少し上段から意味を定義してみると、皆さまの頭を悩ませている問題のお役に立てるところもあるかもしれません。日刊工業新聞社「プレス技術3月号」に弊社エンジニアの藤生がリソース不足を補うための活用のヒントとしてアイディアを寄稿しております。詳細は、雑誌をご覧いただければと思いますが、労働力不足の問題に対してAutoFormが貢献できる可能性を示しました。     ここで、あらためてお伝えしたいことは、AutoFormは皆さまの課題を一緒に考え解決していくことのできるパートナーとして成長して参りたいということでございます。手持ちの武器はAutoForm製品しかありませんので、プレス、BiWのシミュレーションが核になるのは事実であり、皆さまの業務全体からみれば限られた分野になることは間違いありません。それでも、まずは高く、広い視点での課題に関して皆さまと一緒に議論をさせていただきながら課題の特定、解決策の立案、そして実行を伴奏しながら確かな実益を得られるまで責任の持てる企業になっていきたいと思います。     自動化、AIの開発にも力を入れ始めております。シミュレーションをIoT、AIと組み合わせ量産工場の問題を事前に防ぐことを目的としたSmart Production Assistantを始め、開発初期のBiW設計に関わる、プレス部品の成形性、コスト把握、サプライヤーとのデータ共有も目指すCar Body Planner など試作段階ではあるものの徐々に形になって参りました。先に挙げた、労働力、リソース不足に対する課題に対してもAIを活用したソリューションの開発もスタートします。AIのような新しい技術は実際に試しながら創造を生み出し、使い方を形にしていくというステップが必要です。まずは皆さまの課題を高い視点で理解しながら、パイロット版を製作します。そして、実際に試行をしていただいたフィードバックをもとに活用方法を含めた製品の意味、価値の理解を増し、製品が生み出す価値とその製品精度を向上していく、そのような開発手法を取りながら課題解決に有効に機能する製品の開発を進めております。     今回のユーザー事例では、本田技研工業株式会社の川口様・島田様に、お2人が挑戦されてきた3年間を掘り下げていただきました。内容の詳細は記事をご覧いただければと思いますが、お話しいただいた内容を課題に対する挑戦という視点で捉えてみたいと思います。新しくデジタルツールを導入するということは、仕事の仕方を変えなければなりません。組織として何かを変えるということは、変わりたくないという人間の本能と、ある種過去を否定するような側面がありますから必ず抵抗者が出現します。それでも変化を成し遂げられたのは、上手くいかないことを否定するのではなくそれを許容する組織文化と好奇心旺盛で簡単にあきらめることのない川口様のリーダーシップ、そしてリーダーをそばで支えてこられた島田様の存在が大きな要因だったんだろうと思います。     川口様、島田様には昨年のユーザー会でもご発表のご協力を賜りました。本当にありがとうございました。今後もユーザー企業の皆さまから、さまざまなお考えを共有していただくコンテンツとしてこのようなインタビュー形式の記事の作成も増やして参りたいと思います。     ユーザー事例でも触れられているように、問題を解決し、強い状況を作りだしていくためには3年、5年、10年と時間がかかります。残念ながらAIを導入したからといって、その瞬間から急に労働力不足が解決されるわけではありません。3年後、5年後、10年後の労働力不足に対しての打ち手は今始めてその頃にようやく実を結ぶものです。林修先生の「いつやるの?今でしょ!」ではありませんが、始めないと問題は解決しないのは間違いない事実です。皆さまとお話ししていると、問題は分かっているし、やりたいんだけどなかなか時間が取れない、という切実な苦しさに直面します。どんなに苦しくても問題を先送りしている状態は、先の未来が良くならないことを容認していることと同一です。自社のみ、自部署のみ、自分だけでできることは限られています。是非、AutoForm社のような外部の力を上手く利用していただき将来の課題に対する準備を初めていただければと思います。     皆さまともう一度強い日本製造業を創っていくための一部になれるように社員一同精励して参ります。     皆様の安全と健康を心よりお祈り申し上げます。   オートフォームジャパン株式会社 代表取締役社長 鈴木 渉

オートフォームジャパン
代表取締役社長からのメッセージ

お客様各位 ニュースレター読者の皆さま 前回のAutoForm-Newsから配信システムを変更いたしましたが、ご案内のメールが迷惑メールフィルターにかかる割合が増え、うまくお届けできていないことがわかりました。問題の改善のために再度配信システム変更を行っています。このような状況であったため、せっかく素晴らしい記事作成にご協力いただいた、本田技研工業株式会社の川口様・島田様の3年間の挑戦を掘り下げていただいたインタビューを広く皆様にお届けできていませんでした。そのため、今回の配信で再掲載しています。川口様、島田様には昨年のユーザー会でもご発表のご協力を賜りました。改めてお礼申し上げます。 ■Named User License(ネームド・ユーザー・ライセンス:以下NUL)への移行 AutoFormグループでは、従来、Node-lock(以下NL), Floating OneSite/Country(以下FL OneSite/Country)として提供させていただいたライセンスタイプをNULへ変更することに決定いたしました。NULにライセンスタイプが変わる製品は、Front-endのみでありBack-end製品は従来通りのFloatingのままで変更はございません。すでに各お客様へ担当営業より、移行プログラムに関してのご説明を開始していますが、まだご連絡できていないお客様もいらっしゃいますので、簡単ではございますがここでライセンスタイプの変更に至った経緯とライセンス移行プログラムの方針に関してご説明いたします。 2022年、日本、アメリカ、EUを中心に第三者機関による顧客調査を実施しました。私たち日本人は感じ難いことですが、世界の目からみると日本は特殊だ、と言わることが良くあります。そのため、なるべく多くのお客様の声が伝わるように、全顧客調査の40%を日本のお客様が占めるように対象を決定しご協力をいただいたものでございます。 以下のように顧客調査のニーズを見ると、コロナ禍で働き方が大きくかわりリモートで業務ができるようになった環境下において、在宅勤務を中心として場所に縛られずにAutoFormを使いたいという声がありました。NLではマシンの設置場所に縛られますし、FL Siteでは自宅や出張場所からAutoFormを使用することができません。また、他の人とタイミングが重複してしまい、ライセンスを使いたいときに使えないという声もありました。最後に昨今のソフトウェア使用のキーワードでもあるSaaSやクラウドへのソフトウェア・アプリケーションの対応もあり、クラウド環境を見据えたニーズがあることもわかりました。NULは人に紐づくライセンスですので、AutoFormを使いたいときに誰ともバッティングすることなく、またどこからでも使用をすることが可能になります。 顧客調査結果から判ったお客様のニーズ 場所に縛られることなく仕事をしたい ライセンス利用のバッティングを避けたい 利用環境は今後バーチャル化(クラウド)が主流になり、将来的に最良のソリューションになっていく 次にNULへの移行を決定したAutoForm社としての理由をご説明します。理由をまとめると以下の箇条書きで示した内容になります。AutoFormは、プレスからボディまで拡張し、この領域で他企業と比較したときに最大の投資を継続することで、競争力を磨き今日まで成長を続けて参りました。これからの将来を考えたときに、急激なビジネス環境の変化の中で将来も成長を続け生き残るためにはどうしたら良いのか、グローバルでも500名に満たない人数の小さな企業ですので日々真剣に議論をしています。AutoFormの競争力を維持するためには、この最大の投資を継続することに他なりません。その中で、特に契約違反であるライセンスタイプに整合しないリモート使用であったり、日本では該当企業は少ないですが、時差を活用し、1ライセンスを3拠点で共有したりなど、海賊版の使用を含めて、本来であればライセンスを購入いただける機会を大きく損失しています。これら契約書では制御しきれない状況を技術的に改善するものとして、NULの移行への意思決定を行ったというのも事実でございます。 AutoForm社がNULへの移行を決定した背景 パブリック・クラウドソリューションへの対応 ライセンス契約違反 NLのリモートデスクトップでの利用(NL、FL OneSiteいずれもリモートワークで使用できません) ライセンスをグローバルに共有することは認めていない 時差の活用 納税ルール 海賊版 国によりますが、違法コピー利用を多数確認しております。(日本でも事例があります) 日本に本社を置く他国グループ企業での使用によるリスク 日本のOEMに対する不当競争に繋がります NULの考え方は人に紐づくライセンスですので、1つのライセンスを共有してお使いになられているユーザーにおいては、ライセンスを必要な人数分購入していただく必要がございます。積み上げてきた使用方法を継続できるのか?結局価格はいくらになるのか?この2点が最大の懸念点になるかと思います。 これから新しくAutoFormをご検討いただく企業にとっては、NULをベースに使用方法をご検討されるため、そもそも従来の使用方法を考える必要がありません。しかしながら、現在ご使用いただいているユーザーにとっては、NULへの移行において大きく使い方が変わることが困りごとになるのは理解しております。そこで、既存のライセンスタイプからNULへの移行のご提案に際しては、「可能な限り」既存の使い方を再現できるようなプランをご提案します。従来のライセンスタイプに合わせてきた運用方法ですので、ユーザーによってはNULが合致しないケースもございます。特にAutoFormを限られた時間のみご使用されているユーザーが多いほど、価格に影響を及ぼします。NULの移行に際しては、既存の運用方法の再現と価格はトレードオフになる場合もありますので、完璧に皆様が納得できる移行プランのご提案は正直なところ難しいです。ただ、議論を重ね「可能な限り」納得のできる運用方法の再現と価格決定を行っていくことをお約束いたします。予測だけでなく、使ってみないと分からないという点もあると思いますし、将来においてはNULの特徴を活かした新たな運用方法もご検討されていくと思います。NULを中心に考えることが本質ではございませんが、NULのメリットを享受できるような視点も含め、あらためて現在のAutoFormの活用のされ方、これから将来に向けて何をしていくのか、いくべきなのか、といった皆様の競争力強化の道筋の議論をさせていただければと思います。 現在重点的に投資を行っている分野は、ヘム・アセンブリ(工程再現、接合種類の拡張、トレランスマネジメント、サブコンポーネントからボディ一体への拡張)、AI(Pre/Postの効率化、スマートな不具合算出、ソルバーの高速化と精度向上の両立、サロゲートモデルによる運用支援・生成AIによるダイフェース設計)、プレス(特に日本市場ニーズの高い型たわみ機能の拡張)になります。これからもAutoFormにご期待をいただけるように開発も加速して参りますので、前向きなNULへの移行プランの議論にご協力をお願いいたします。 ■CarBody Management Summit2024に関して 別ページで詳細をご説明しておりますが、インターナショナルなお客様の交流の場として、本年もCarBody Management Summitをフランクフルトで開催します。年を追うごとに日本からの参加者も増え、お客様から多くのお問い合わせをいただけるようになりました。また昨年の日産自動車株式会社の阿部様に続いて、今回はトヨタ自動車株式会社様、本田技研工業株式会社様にもご発表いただけることになりました、トヨタ自動車株式会社の小口様、野田様、そして本田技研工業株式会社の矢崎様、佐藤様ご多忙の中ご協力賜りありがとうございます。 冒頭にお伝えした配信システムの変更とともにサイトの拡張も行いました。過去に配信したNewsのアーカイブもご覧いただけるようになっておりますので、ご覧いただけますと幸いでです。 社員一同みなさまの競争力強化のご支援にたずさわれることを意識し、これからもAutoFormの価値を感じていただけるよう、頑張って参ります。 皆様の安全と健康を心よりお祈り申し上げます。 オートフォームジャパン株式会社 代表取締役社長 鈴木 渉

Message from the President

お客様各位 ニュースレター読者のみなさま 前号はコロナの影響により約2カ月遅れての配信となりましたが、今後は万全の準備をもって3カ月ごとにメールにてニュースレターをお届けいたします。 皆様が安全かつ健康にお過ごしであること、また現在の状況下でも生活に支障がなきことを、心より願っております。ニュースなどでは、コロナ禍による非常に深刻な社会情勢について、連日報道が続いています。経済的損失は非常に深刻であり、今後もこの状況が続くことに疑いはありません。生活様式についても、あらゆる面で大きな変革が起きています。これらの変革が社会経済活動に前向きな影響があることを願うばかりです。オートフォームでは、リモート環境でのお客様のサポートに取り組んでいます。そして在宅勤務を希望されるユーザーの皆様に、無料の特別ライセンスを発行する準備も整いました。この支援策は当面の期間継続し、状況が快方に向かう頃には、次の一手にてお客様に有効な支援を続けてまいります。「AutoFormを活用したテレワーク」の環境を整えるために特別な支援が必要な方は、どうぞお気軽にご相談ください。 このニュースレターには、ぜひご一読いただきたい2つの特集記事を掲載しています。 一つ目は、オートフォームジャパンの重要なお客様の成功事例で、DieDesignerとSigmaの併用によるスプリングバックの最小化についてです。 この会社では、AutoFormのDieDesignerとSigmaを併用することで理想的なプロセスを実践することができ、ルーフ補強部品のモデル化およびシミュレーションの時間を7.5時間から1.8時間に短縮できました。これは75%以上の生産性向上を意味します。皆様の会社でも同様の結果を得ることにご興味はありませんか? 二つ目は、精度に関する特集です。これは日本のお客様とお話しする際に常に話題となるトピックですが、日本以外の諸外国では、弊社のソリューションはその精度が高いレベルにあることをよくご理解いただいております。日本における懐疑論は、事実よりも競合の戦略に負う部分もあるのかもしれません。もちろん、これはオートフォームジャパンが日本のお客様を限定するという意味ではなく、むしろこの問題に継続的に取り組めることに感謝しています。おかげさまで、この数年間に大きな改善をもたらすことができました。 またこの特集記事では、精度指標の重要性についても紹介しています。これをお客様にご理解いただくことが、ソリューション・プロバイダであるオートフォームの責務だと感じています。弊社製品からだけではなく、競合他社の製品からも、信頼できるシミュレーション結果を得るために欠かせない多くの知見や重要なポイントについて説明しています。読者の皆様には、ぜひご一読いただきたく存じます。 2020年7月に開催を予定している無料のウェブセミナーのスケジュールもぜひご確認ください。その他のセミナーに関しては、7月下旬以降のニュースフラッシュでお知らせします。 オートフォームジャパンを代表して、日頃からのご愛顧に感謝申し上げます。弊社のソリューションが御社に最大級の利便性をもたらしますよう、今後もサービスおよびサポートに最善を尽くしてまいります。お気に召さない点がございましたら、どうぞ遠慮なくご連絡ください。 皆様の安全と健康を心よりお願い申し上げます。 オートフォームジャパン株式会社 代表取締役 クリベリ マルコ A.

Message from the President

公私共に生活が一変しました。これまで当たり前だった「昨日」が、いまや遠い過去のようです。国内旅行や海外渡航は制限され(多くの諸外国ではビジネスや観光を目的とした渡航者の入国が禁じられています)、またお客様を以前のように頻繁に訪問することもできず、同僚や友人と集まる場合ですら、その必要性を考慮した上で「どのように」集まるかを慎重に検討しなければなりません。   先日、名古屋のお客様を訪問する機会がありましたが、これが今年3月以降初めてのお客様訪問でした。満員電車や混雑する駅構内に驚き、また行き交う人々が(マスクに隠れた口元を想像する限り)笑顔であることに幸せを感じました。スイス国民である私が日本に住み仕事ができる大きな幸運を再確認しています。規律正しく責任感が強い日本のみなさまのおかげで、未だ現在は「コロナ感染の基礎レベル」にあり、「新たな日常」と呼ばれるほぼこれまでと変わらぬ生活を過ごすことができています。そして今は不況や金融危機からの景気回復のみを願っています   6月のニュースレターにてお伝えしたとおり、オートフォーム社では、在宅勤務を推奨しているお客様を対象に業務に支障をきたさぬよう、暫定的にライセンスを無償で発行させていただき、ソフトウェアの評価に時間を要する場合には評価期間を延長するなど、コロナ禍における特別プログラムや救済支援策をご用意しています。また必要に応じて別途、救済活動を検討いたします。御社担当のアカウント・マネージャーまでお気軽にご相談ください。 本ニュースレターには非常に興味深い記事を2点掲載しています。   まずは今年4月にISMR(International Sheet Metal Review)誌へ掲載された記事です。ポルトガルの小規模な金型製作所Epalfer社がAutoFormソリューションを使い、ロバストなプレス成形工程に最適な金型のデザインを導き出した事例を紹介しています。Epalfer社CEOは「AutoFormソフトウェアを導入してから、複雑な部品形状、最新鋭の材料、厳しい納期指定や品質要件に対応できるようになりました。」と述べています。ぜひご一読ください。   次に紹介するのは2020年5~6月にStamping Journalへ掲載された記事で、バーチャルなエンジニアリング・ツールの効果的な利用による、先進高強度鋼 (AHSS)や高強度アルミ合金のスプリングバックの緩和および管理に関する優良事例を紹介しています。特に最新の材料等級を扱う機会がある方々には、分析的なアプローチから成果を得る方法について、理解を深めていただけるかと思います。この記事の最後はこう締めくくられています。「現実のトライアウト・サイクルを削減し、安定した高品質のパネルを得ることができることは、トライアウトから量産開始までの総コスト削減の実現を意味します。そのためには、バーチャル世界でロバスト性を考慮しスプリングバック見込みを完了させるとともに、それをデジタル・マスターとしてシミュレーション通りの金型形状と加工条件を実際のトライアウトで再現することが不可欠です。」   これらの記事から見識を深めていただくことができれば幸いです。   スイスおよびドイツの開発チームは2021年の第二四半期に予定されているソフトウェアの新バージョンのリリースに向けて開発を進めています。このR10には数多くの新機能や機能改善が実装されますが、その多くは日本のお客様からのご要望が反映されたものです。おそらく次号ではR10の主要機能について先行発表できるかと思います。   ユーザーのみなさまやその企業のみなさまには、日頃よりのご愛顧とご支援に感謝申し上げます。弊社のソリューションが最大の恩恵をもたらすよう、オートフォームジャパン社員一同、最善を尽くしてサポートいたします。スイス本社の支援のみならず、世界各国の拠点から集積された専門知識を活用し、今後も御社の成長に寄り添う企業であり続けることをお約束いたします。   みなさまの安全と健康をお祈り申し上げます。   Marco A. Crivelli Country Manager AutoForm Japan K.K.

オートフォームジャパン代表取締役社長からのメッセージ

お客様各位 ニュースレター読者の皆さま 本稿の執筆を進める中、取締役員や開発部長との会議が続いた3週間のスイス出張から帰国しました。オートフォームの主要株主が交代するという新たな発表を受け、スイス本社の雰囲気は明るく、非常に大きな活力と興奮に包まれていました。新たな主要株主となる米国のCarlyle社は、プライベート・エクイティ投資会社です。オートフォームが世界のあらゆるマーケットにおいて主導的立場にあること、またBiW(ホワイトボディ)のエンジニアリングから生産までプロセスのデジタル・トランスフォーメーションを促進および加速するオートフォーム独自のソリューションが非常に優れていることを高く評価し、オートフォームの巨額買収を行ったのです。製品開発分野ではデジタル・トランスフォーメーションが急速に浸透し、バーチャル・プロトタイプを活用した生産現場の構築や、デジタル・ツインを基盤とするバーチャル・ファクトリの運用が進んでいます。しかしCarlyle社では、世界の主要OEMやティア1サプライヤのお客様と同じく、製品開発におけるエンジニアリング・プロセスのデジタル・トランスフォーメーションは、まだ未成熟の早期段階にあると認識しています。2021年、オートフォームは世界各地の主要OEMやティア1サプライヤと連携し、エンジニアリングおよび生産プロセスの包括的なデジタル・トランスフォーメーションに向けた取り組みを開始しました。これらのプロジェクトに共通する目標として大幅なコスト削減を掲げ、また同様に、エンジニアリングのリードタイムとモデル・チェンジや新型モデルの市場投入までの時間短縮も重要な目標として定めています。オートフォームのファースト・エンゲージメントは成功を収め、いまやソリューション・プロバイダーとしての適正能力は業界にて広く認知されています。コストやリードタイムの削減について申し上げると、数千万ユーロ/米ドルのコスト削減、そして20~30%の時間短縮を目標に掲げ、いかなる妥協の余地もないことをお伝えいたします。当然ながら、削減目標はプロジェクトを実施する企業の規模によって大きく異なります。オートフォームジャパンでは、この大きな価値あるプロジェクトを日本のお客様にもぜひご紹介させていただきたく存じます。 間もなく2021年が終わりを告げようとしております。オートフォームのお客様、そして日頃より当社製品をご愛顧いただいているユーザーの皆様にご支援をいただき、この長引くコロナ禍による制約や負担が続く中でも、大きな成功を実感できる1年を過ごすことができました。末筆ではございますが、スイス本社の取締役会およびオートフォームジャパンを代表して、日頃よりオートフォーム製品をご愛顧いただいている皆様に心からの感謝を申し上げます。また、製品やサービスを日本のお客様のニーズやご要望にあわせて、なお一層向上させていくために、忌憚のないご意見を頂ければ幸いです。 すべてのお客様、そしてそのご家族や友人の皆様へ、2022年のご健康、ご多幸、ご成功を心よりお祈り申し上げます。 オートフォームジャパン株式会社 代表取締役社長 マルコ A. クリベリ

オートフォームジャパン代表取締役社長からのメッセージ

お客様各位 ニュースレター読者の皆さま 7月1日より創業社長のクリベリ マルコの後任として、オートフォームジャパン株式会社の代表取締役社長に就任いたしました。2006年、当時AutoFormの代理店であった住商情報システム株式会社にて技術サポートの担当になったことが、皆さまとの関わりの始まりでございます。右も左も分からない頃から、プレス金型とは?工程設計とは?など抱えられている課題の背景が理解できるようにAutoFormへの期待も込めて丁寧にご説明、ご指導を賜りました。歩みが遅く少しずつではございましたが、皆さまの抱えていらっしゃるご不便や課題解決への貢献が実感できるようになるにつれ、この業界の面白さに気付き、のめり込んでいったことを覚えています。 新任の決意としては違和感があるかもしれませんが、あまり張り切り過ぎないよう注意をしています。というのは、手前みそではございますが、弊社スタッフはプロフェッショナルなマインドを持っており、細かくマネジメントをする必要がありません。現在のように予測が難しい変化が次々と起きる環境下では、最前線で戦っているメンバーが一番その変化を捉えています。その変化に対する個々の洞察をくみ取りながら舵取りをしていくことが成功の要因であり、私自身の役割であると理解しているからです。 急激な世界の変化の中で、日本の製造業も大きな過渡期を迎えています。隆盛を誇った日本の製造業は、新たなプレイヤーの出現や競争軸の変化により、強烈な生存競争に突入しています。確かな技術、技能を持ち、また実直に誠実に「ものづくり」を行っているにも拘らず緊張感のある生存競争にさらされている、というのは何か納得いかないのですが、現実に起こっている事実です。私たちは何かを間違えているのでしょうか? 競争に勝つには、顧客に価値を感じていただける競合他社にはない特徴が必須で、それが無ければ必然として価格競争に陥り利益は確保できません。強みとなる特徴は、簡単に真似されてしまうものでは優位とはなりませんので、継続的な新技術を生み出すことのできる組織力や長年の信頼蓄積によるブランド力など時間をかけなければ追いつくことのできないものが競争差別化として機能します。 AutoFormというツールの採用は誰でもできるため、競争優位にならないのではないかと疑問に思われるかもしれません。確かにすべてのデジタルツールはお金をだせば購入できますので、保有すること自体は競争優位になりません。前号でも触れましたが、日本人だけでなくすべての人にとって今までの成功の実績が裏付けする従来のやり方を否定することは難しいもので、新たな手法に挑戦することは勇気と反対勢力を押し切るエネルギーが必要です。日本、欧米に限らず、すべての既存組織で変化への対応には時間が必要となりますので、この対応力は大きな差が生まれるポイントでもあります。早く行動を起こし実績に結び付けることができることが、変化の激しい今の状況では間違いなく競争優位となり先行者利益を生むことになります。つまりいかにAutoFormを保有するだけでなく、上手く取り込み「実益」に結び付けることができるか、これが差別化のポイントとなります。 AutoFormは、ホワイトボディ組付けシミュレーションのAutoForm Assemblyをリリースしています。この製品は、現実に問題となっているパネル組付け後の精度不良や成形不具合発覚によるやり直しを減らすことでリードタイム削減に貢献するソリューションです。30年弱の実績がありすでに業務に入り込んでいるAutoForm Formingプレス成形シミュレーションとは異なり、これから新しく業務プロセスに入り込むものです。新しいデジタルツールを受け入れ活用するためには、従来のやり方を変更する必要があります。全てがそうではありませんが、傾向として欧米と日本を比較すると、新しいデジタルツールがでてきた時に、適切な検証を経たうえで「今よりも良くなるだろう」とスタートしながら課題を改善しつつものにしていく欧米と、「使って大丈夫なのか?本当に問題はないのか?」と適用のための検証ゴールを過度に高く設定し、実適用までの時間を費やす日本という対比ができます。高く設定された検証ゴールを達成することは難しく、結果としてなかなかスタートすることができません。デジタルツールに最初に触れたタイミングは同じでも「実益」を得る期間には大きな差が生まれます。これが変化への対応力の差となり差別化要因として現れてくることになります。 今回の顧客事例ではイタリアのフォンタナ・グループでのホワイトボディ・プロセスへのAutoForm Assembly適用の検証内容と結果をご紹介しています。また、ゲームチェンジャーになり得る、新しい見込み手法であるVAR(Virtual Assembly Reference)プロセスに関しても技術的な詳細説明の記事を掲載しています。すでにフォンタナ・グループをはじめとして多くの企業で検証済み導入済みのソリューションである事実を前提に皆さまの検証業務にお役立ていただければと思います。 AutoFormグループは全世界でビジネスを展開していますが、オートフォームジャパンは日本企業の競争力強化に貢献することが使命でございます。皆さまはプレス、ホワイトボディのプロであり、弊社はデジタル化支援のプロでございます。両社の専門性を融合することで、リードタイム削減を達成するための競争力のある業務プロセスのデジタル化が実現することが可能です。現在のプロセスをあるべき姿に変革していく必要性を感じられている皆さまには、是非弊社スタッフへご相談をいただければと思います。 弊社は2007年に設立され、2011年に代理店から引き継ぐ形で直販体制に移行しましたが、皆さまの温かいご支援を賜りながら着実な成長を遂げることができております。心よりお礼を申し上げます。この先10年、20年と日本製造業に貢献することで皆さまとともに競争に打ち勝ち、成長して参りたいと考えております。 皆様の安全と健康を心よりお祈り申し上げます。   オートフォームジャパン株式会社 代表取締役社長CEO 鈴木 渉

オートフォームジャパン代表取締役 鈴木 渉からのメッセージ

オートフォームジャパン代表取締役 鈴木 渉からのメッセージ お客様各位 ニュースレター読者の皆さま ■ はじめに   2007年にオートフォームジャパンを創設してから代表取締役社長として、昨年7月から特別顧問として今日の成長を牽引してきたクリベリがこの3月末で退任します。AutoForm製品において唯一のローカライズ版である日本語GUIが存在していること、日本市場からの特有のリクエスト内容を反映した製品、機能開発が促進されているのは、彼が諦めることなく強く本社を説得してきた結果の賜物でございます。今号News Letterで皆さまへの最後のご挨拶をさせていただいていますので、ご覧いただければ幸いでございます。常に日本のお客様を考えてきたその姿勢はAFJPメンバー全員で引き継いで参りたいと思います。 ■ 顧客事例   AutoFormを活用したデジタル・トランスフォーメーション事例として、株式会社ラピート様の事例をご紹介しています。トランスフォーメーション・プロジェクトに一貫するのはツールの採用で終了する簡単なものではないことです。あるべき姿に組織をトランスフォームしきるには、何より社員のマインドセットを完了することが必須になります。あるべき姿に業務プロセスを変えていくことは、ある種、過去を否定されているような気にもなりますので、変化を受け入れ難く感じるのは誰でも自然なものです。変化を受け入れることが難しいという、そもそも人間の持つ特性から、トランスフォーメーション・プロジェクトは非常に難しいものです。その難しいプロジェクトの成功に必要なのはトップの強烈な危機感と強い覚悟、そしてリーダーシップです。また、なるべく早くQuick Winを生み出し、「新しいやり方はこんな良いこともあるのか」と実感してもらいながら変革に賛同する仲間を増やしていくことです。まさに、重友専務が組織を引っ張りながら、ご担当されたメンバー全員の努力で新しい競争力を獲得された事例でございます。    日産自動車株式会社様にご協力いただいた事例は、シミュレーション活用により生産工場でのプレス工程の生産性向上に取り組まれたものです。詳細は事例の記事をご確認いただきたいと思いますが、この取り組みは、生産性向上の実現として、生産前に問題の要因を予測可能とし、因子の影響度をもとに、管理する因子の優先順位をつけることを可能にしました。その結果、量産ワレに対して、従来、現場で時間をかけて管理していた因子の影響が低い場合には、根拠を持って優先順位を落とし、重要因子の管理に集中することができるようになっています。    一般的に、日本は生産性が低いと言われます。この事例内で紹介されている内容を例にとると、残念ながら部品によっては効果があまりない金型クリアランスにこだわり、この調整として時間を浪費していたケースがあります。金型クリアランスの調整には、高度な技能が必要ですし大変な仕事ですので、長時間の「仕事」をしているのは間違いありません。ただ、(部品によっては)この長時間の「仕事」から「実は」思うような価値を生み出せていなかったのかもしれません。    労働人口が減少している現在、将来において、競争力を維持、強化していくには生産性向上は必須のテーマです。いかに、普段「頑張って」行っている業務、タスク1つ1つが仕事をしている気になっているだけなのか、本当に意味のある価値を生み出しているのかを今一度あらためて見直すことが必要なんだと、非常に示唆に富む内容でした。    株式会社ラピート様、日産自動車株式会社様、事例へのご協力誠にありがとうございました。 ■ デジタル化による工場での生産性向上への取り組み   顧客事例として、日産自動車株式会社様より工場の生産性向上への取り組みをご紹介いただいていますが、AutoFormグループも工場における生産性向上への取り組みをシューラ―社と共同で開発をスタートしており、2年後の実用化を目指しています。(プレスリリース:Increase Productivity Through Digitization )    Industry4.0に関連した取り組みのキーワードにスマート・ファクトリーがあります。たとえば、スマート・ファクトリーの取り組みで生産現場での不具合の自動解決を実現することは、生産現場での不良をゼロにすることです。材料などのインプット情報とアウトプットとしての成形パネルの素性から不良が起きることを予測したときに、リアルタイムでコントロール可能なプレスマシン、加工パラメータ(クッション圧など)を上手く制御することができれば不良を未然に防ぐことが可能です。ただし、当然のことながら、この手法で生産中に不良をゼロにするためには、コントロール可能なパラメータで問題を解決できる可能性が存在することが必須です。つまりエンジニアリング段階でプロセス・ウインドウ(問題が解決できる範囲)を可能な限り担保しておくことが重要で、今以上にエンジニアリングの重要性が増すことを意味しています。日本でも本取り組みに向けて準備を開始しています。皆さまの工場でのカメラでの不良検知やセンサーでの情報取得、プレスマシンのコントロール可能性など調査、理解する必要がございますので、ご協力いただければ幸いでございます。 ■ Assembly最新バージョンリリースとエコシステムのデジタル化   3月13日にAutoForm Assembly製品の最新バージョンであるR10をリリースしました。(プレスリリース:R10 Evolving BIW Process)    この製品はBiWに関連するデジタル化を促進します。単にOEM社内のプレスとHem/Assembly領域をつないで工程設計の品質向上を達成するだけではなく、エコシステム(OEM, サブ・アセンブラー、設備メーカー、スタンパー、金型メーカー、エンジニアリング会社など)をデジタルで繋げていきます。従来、現物のプレス部品を接合して品質を確認していたサブコンポーネント品の検討がデジタルツインとしてバーチャルで確認できるということは、物理的なプレス部品が、事前の検討段階でプレスシミュレーション結果に置き換わることを意味します。事前検討としてエコシステム内でプレスシミュレーション結果をもとにサブコンポーネント、BiWが組み立てられ、物理的な製造が始まる前に問題解決を行い、問題の発生リスクを低減できる効果は図り知れません。しかしながら、新たに生み出される大きなメリット、価値を謳歌するには単にシミュレーションを使えば良いというものではなく、従来のプレスとHem/Assemblyグループ間のコミュニケーションや、どちらがどの業務をどこまで行うかなど業務プロセスの見直しと場合によっては組織構造の見直しも必要になります。さらに、なぜ従来の方法を変えなければならないかという成功体験を持つ方々の説得、マインドセットも必要になるため簡単な取り組みではありません。3年~5年、もしくはそれ以上必要になるかもしれませんが、取り組みの開始が遅くなれば、その開始タイミングから時間がかかることは変わりませんので、先にスタートした企業に追いつくことはできません。世界に目を向けるとエコシステム視点のデジタル化は確実に進んでいます。弊社でもデジタル化支援のテーマをエコシステムまで広げ積極的に推進していきます。 ■ 最後に   3月初旬にAutoFormグループのメンバーが集まる会議に参加をしてきました。AutoFormグループの将来のさまざまな計画とともに、各オフィスの状況、ユーザー様との共同プロジェクトに関する共有なども行われました。また、弊社自身もトランスフォーメーションをしながら変革の必要性があることを認識し、どのような変革が必要で取り組むべきか、取り組んでいるのかなど議論をしてきました。    ユーザー様との共同プロジェクトの進捗で感じたことは、従来は、「欧州では」、「中国では」、「ドイツでは」と、語られる傾向が地域や国で特色を持っていましたが、最近では、OEM、OEMグループ、企業単位で取り組みの特徴が異なることに気付きました。    変革の必要性に迫られたときに、明確な方針のもとトップダウンでスタートしている企業、合併・グループ再編を機会として、統一したプロセスを世界で導入しようとしている企業、過去の成功体験から抜け出せずに取り組みが加速しない企業など、さまざまな違いがあります。日本でも競争力強化のための新しい取り組みを加速されているユーザー企業は増えてきていることを実感しています。    自動車業界が成熟期から衰退期に移行する前に、CASEのような新たな枠組みの変化を機会として、他社に先駆けて活用できた企業が勝ち残っていくことは間違いありません。    オートフォームジャパンでは、引き続き皆さまの変革のパートナーとして競争力強化のご支援に努めて参ります。   ようやく社会もコロナ収束の気配となり、季節も春となりました。気持ちも晴れやかに頑張って参りたいと思います。皆さまとご家族のご健康を心よりお祈り申し上げます。 オートフォームジャパン株式会社代表取締役社長鈴木 渉

代表取締役社長からのメッセージ

お客様各位 ニュースレター読者の皆さま 2022年も残り僅かとなりました。昨年に引き続き皆さまに多くの製品をご採用、ご活用いただいた結果、オートフォームジャパンは17%の大きな成長を果たすことができました。日頃より、AutoFormをご活用いただいております皆さまに感謝申し上げます。 成長の原動力となったのは、OEM, Tier1を筆頭にお客様におけるデジタル化推進によるシミュレーションの強化によるものです。特にTier1のお客様において、急激な変化の中での生き残り、もしくは変化を機会と捉えられた企業が投資を加速されているのを実感しています。これからの将来に対して健康的な危機感を持ち、将来に対してどのように戦っていくか、会社の方向性が定まっていて経営層からのメッセージが社員に伝わっていると感じるお客様が増えてきたことが要因だと感じています。 別でレポートしていますが、10月に”CarBody Digital Transformation summit 2022”と題して、各社のマネジメント層の方々をご招待したイベントを開催いたしました。発表された内容の多くが、何を目指している中でのデジタル化なのかを強調したご発表であったことが印象的です。たとえば、金型の大部分をアウトソースしている企業では、自社のデジタル化だけではなくアウトソース先企業のデジタル化支援の取り組みと、サプライチェーン支援が自社にとってどのような競争力強化に繋がるのかに関して共有されました。また、アセンブリ・ヘム領域では、開発初期段階での新たなシミュレーション活用プロセスにより現場でのクランプ修正作業の25%、設備スペースの29%、ロボット修正で20%、スポット溶接に関連する修正の14%を削減した事例が共有されました。この新しいプロセスの採用に至る経緯では、従来、標準による溶接工法が確立されているため変更の必要性はないとされていた常識が、実は現場ではこの標準の50%が機能しておらず問題が発生していたことが分かったこと。そして、従来の方法を否定することは、時には他部署、他者を否定することにもなるため、組織として非常に難しいことであるが、実行しないと他社に負けてしまうとの危機感から検証を行い、関連する人を説得し、新しいプロセスの導入決定に至った経緯についても生々しく紹介されていました。 関連する部署や人が多いほど、新しいプロセスの導入には障壁があり、計画のみで実行に至らないことも多くあります。当然生み出される価値が高いことが前提ですが、実現は難しいが、競合企業にとってもまねしにくく実行までの時間が多くかかる新しい取り組みは間違いなく差別化された競争力になります。 今回のイベントでは、各社マネジメントの方々が、いかに危機感を感じ、勝つための施策を実行しているか、そのリアルに触れることができた貴重な機会となりました。来年も企画をしておりますので、ご参加をご検討いただけますと幸いでございます。 AutoFormは素晴らしいソフトウェアであると自負しております。世界中どこでも購入することができますが、導入するだけでは競争力の強化にはつながりません。今回ユーザーケースとしてご紹介している、中国や韓国企業でもAutoFormを活用いただき効果を出していただいています。 皆さまの競争力強化を実現することがオートフォームジャパンの使命であり、その組織能力を準備することが私の役割でございます。 皆さまにおいて、導入したけれども思ったような効果がでていない、今よりさらに競争力強化につながるような効果的な使用をしていきたい。といった想いのある方はぜひ、担当までご相談をいただければ幸いです。 2023年にはコロナ禍で開催を見送っていたユーザー会を、9月もしくは10月に開催したいと考えています。皆さまのお考えや事例を共有していただきながら、ユーザー様同士の交流の場となれば幸いでございます。 本年も格別のご愛顧を賜りありがとうございました。皆さまとご家族のご健康を心よりお祈り申し上げます。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。 オートフォームジャパン株式会社 代表取締役社長 鈴木 渉

オートフォームジャパン 代表取締役 鈴木 渉からのメッセージ

オートフォームジャパン代表取締役 鈴木 渉からのメッセージ お客様各位 ニュースレター読者の皆さま ■ はじめに   今年に入り連続した各地の地震によるニュースが目立つようになり、昨年の今頃は、関東甲信地方の史上最速の梅雨明けと6月の猛暑日の日数が観測史上初であることがニュースとなっていました。線状降水帯という言葉は、耳にすることが増えたため言葉としての目新しさはありませんが、2014年の広島の豪雨土砂災害に代表される災害の要因として、最近では当たり前のようにこの梅雨の時期である6月から8月頃に人々の豪雨災害への不安を引き起こすキーワードとなっています。このようなさまざまな災害を引き起こす一因として、地球温暖化が問題視されていることは周知されているとおりでございます。 ■ CO2排出量削減へのAutoForm活用   今回お届けするAutoForm Newsでは、ユーザー様事例をお休みし、温暖化の主原因とされている、CO2排出量に関連する記事として、熱間プレスと冷間プレスの工法によるCO2排出量を考察した記事をピックアップしました。   AutoFormは、ご活用いただくことで競争力強化の源泉となる生み出される価値を最大化することに大きな意識と意思を持って製品開発、技術支援を行っていますが、より持続可能な地球の未来への貢献として、パリ協定に始まった2050年までの「ネットゼロ」達成に向けてのご支援も加速して参ります。   AutoForm活用によるデジタル化促進により生み出される価値を最大化する取組みで議論される「価値」はさまざまありますが、新たなプロジェクトを獲得することによる、収益とリードタイム、コスト削減による利益への貢献が主となっています。ここに、CO2排出量削減量を価値として議論できるように、ツールを準備しています。また、CO2排出量削減に関連するユーザー様事例もFormingWorld・JapanFormingに随時UPしていく予定です。 ■ お客様同士の交流のハブとなれるように   9月29日(金)に4年ぶりとなるユーザー会を開催いたします。このユーザー会はAutoForUmと名づけ、皆さまが集まり交流する場(forum)を設けることに価値をおいているものでございます。情報を得るだけであれば、Googleを通じてどのような情報も得られる時代になり、AutoForm社からもFormingWorld・ JapanFormingのサイトやWebinarで情報のご提供をしているように、情報を得るためのコストはとても低くなりましたが、その一方で直接的な対面でのコミュニケーションコストは出張費や移動時間の正当性が求められ、間違いなくコロナ前と比べれば格段に上がっています。そのような状況ですので、時代と逆行する形になりますが、このユーザー会は対面で実施します。ユーザー様より魅力的なコンテンツとして、プレゼンテーションを準備していただいておりますが、プレゼンの内容の議論や日頃の疑問点などのご相談など、十分な交流が促進できるようなインターバルの時間や懇親会も用意しております。 このような時代だからこそ、直接的な交流の場に価値を見出していただき、積極的なご参加をいただければ幸いでございます。  同様に、ワールドワイドでの仕掛けとして、EuroCarBody開催に合わて、10月16日(月)ドイツ、フランクフルトでCarBody Management Summit 2023を今年も開催いたします。主旨は同様で皆さまの情報交換、交流のハブとしての場を世界に広げ、価値としてご提供するものでございます。AutoForUmもCarBody Management Summit 2023も別ページで詳細をご説明しているとともに、随時アップデート情報はお伝えして参ります。 ■ さいごに   このAutoFormNewsですが、紙媒体からの開始から約15年、デジタル媒体に形を移行してからは4年目を迎えます。毎回、どのような情報提供が良いのか、頭を悩ませながら、皆さまからのフィードバックを参考にして準備をしています。   皆さまへ意味のある情報提供のパッケージとして、より機能させ、進化をするためにAutoFormNews・ FormingWorld・ JapanForming・ Webinarなど引き続き総合的にフィードバック、ご要望をいただければ幸いでございます。   皆様の安全と健康を心よりお祈り申し上げます。   オートフォームジャパン株式会社代表取締役社長鈴木 渉