【プロローグ】
多くのお客様の支えにより、太田事務所はオープンから15周年を迎えることができました。
この機会に、この15年間を少しラフに太田事務所の変遷と重ねながら、CAE業界がどのように変化し、その中でAutoFormがどのような役割を果たしてきたか, 5年スパンで振り返ってみたいと思います。
【2011~2015 デジタルを使う】
CAE業界
• OEM・Tier1にてCAEの導入がほぼ標準化
• 「使うかどうか」から「どこまで精度を上げるか」へ移行(含 フロントローディングの浸透)
• 高張力鋼板(590~980MPa)の増加
• スプリングバック解析が最大テーマ
• CPU性能向上により大規模解析が現実化
太田事務所
お客様の多くは「なぜ太田なのか」と思われたかもしれません。実は当時、北関東にはAutoFormをご利用いただいているお客様が数多くいらっしゃいました。しかし東京から訪問すると移動時間が長く、お客様と向き合える時間は限られてしまいました。そこで、「より近いお客様の声を」という考えから太田事務所が誕生しました。もちろん、名古屋や大阪、広島なども候補地としてあがっていたことは言うまでもありません。
実際にオープンしてみると、お客様との距離は確実に近くなりました。その分、ご質問やご要望の内容も濃く、日々勉強の連続でした。Panel(パネル)を持って事務所へ立ち寄ってくださるお客様もいらっしゃいました。(今でもWelcomeです。コーヒーもご用意しています。)その時間は、お客様とソフトウェアベンダーという関係というより、同じ課題に向き合うエンジニア同士の議論の場だったように思います。
あの時間が今の太田事務所、そして私自身を育ててくれたと言っても過言ではありません。ただし、事務所と言っても、設備や社員不足は否めず、ミーティングルームもなく、掃除から技術担当まで全てを賄う、そんな時代でした。
AutoForm
シミュレーションが設計に入り始めた時代です。使い易い、計算が早い、サポート対応が良いと非常にありがたい評判でした。ただしAutoFormに限らず、”スプリングバックが実結果と一致しない”は当時の課題でした。CAEの結果に対する評価は、知識や経験のウエイトが占めており、信用や共通の判断にはまだ至っていませんでした。
そんな時代に弊社が打ち出していた、生産準備期間・コスト・品質・製品性能の全てを網羅するCDPP(Comprehensive Digital Process Planning)という考えがありました。こちらは特定の問題に対する解決というよりは、今ある(われやバックだけではなく、コストや日程も含めた)問題全体を担保するというものでした。その考え方を実現する上で欠かせなかった商品が、AutoForm-DieDesigner(以下DD)でした。
私にとって、この時代を象徴するAutoForm製品はDDです。CAD担当者へ依頼することなく、自分で形状を作り、その場でコストも日程も検討できる、つまり技術担当者が自身で問題を解決できる手法の多くを担っていたのです。今となっては当たり前かもしれませんが、当時の問題解決に関わるWorkFlowを考えると非常に大きな変化であったと考えます。15年経った今でも、AutoFormにとっても私にとっても唯一無二の商品です。
【2016~2020 デジタルを信じる】
CAE業界
• CAEの市民権獲得(作業工程・イベント・契約条件等)
• フルオペレーション解析
• ハイテン材の拡張(超高張力鋼板・超超高張力鋼板の台頭)
• 製品精度とは(一致率)
太田事務所
コロナ以前は、我々がお客様にお時間をいただき、訪問させていただく事が業務の主流でした。そのような時代、困ったとき、気軽に立ち寄れる、相談できる場所、と言っていただけたことは、地域に根差した事務所を掲げていた我々にとって、この上ない喜びでした。しかし、ご存じのとおり、コロナ以降は、対面での打ち合わせは難しい状況となりました。その為、事務所の存在意義も問われる時代でした。それでも、画面越しであってもお客様との距離を縮める工夫を続けたことが、Web 会議や(緊張と噛み噛みの)Webinerという、その後の活動につながったように思います。
AutoForm
CAEに求められる結果が厳しくなってきました。不具合の無い最終品を作り上げていくことは、非常に難しいことと誰もが理解していました。前でできる仕事の質が上がれば上がる程、期待や要求も上がります。その為、過去の不具合を潰す作業は、当たり前となり、それ以上の要求が必須となりました。CAEは良い物を作るための補助ツールを超え、良い物を作らなければならない責任を果たすためのツールとみなされる様になりました。日程短縮やコストセーブが求められる中、新しい材料への対応、新しい工法、環境への配慮、法令順守、設備問題、情報過多、原材料アップ、人材不足等、他の多くの課題も存在していました。
そんな中、AutoFormはREM(Robust Engineering Model)を提唱しました。(詳細は下記弊社ブログ*をご参照ください。)簡単に言いますと、「シミュレーション条件は本当に量産現場を表現できていますか?」という問いかけです。実際の材料はロットごとにばらつきます。プレス条件にも変動があります。シミュレーションの設定も実機と異なる定義のまま推移する事もあります。REMは、そのばらつきも含めて評価しようという考え方でした。多くの問題がある中で、明確な問題を建設的にデジタルで解決するベストな手法であると信じています。
CAEは完全にモノづくりの中心的なツールになりました。一方で、「使うこと」よりも「どう使うか」が問われるようになった時代でもあります。解析の精度だけではなく、入力データの質や評価方法、そして量産とのつながりまで考える、2016~2020年は、CAEが本当の意味で市民権を得た時代だったのではないでしょうか。
*ブログ参照
Robust Engineered Model (REM) – ロバストエンジニアリングモデル
ガイドラインと標準 ~ロバストな入力と情報展開~
【2021~2026 デジタルが生産工程をつなぐ】
CAE業界
• デジタル化と自動化の時代
• AIの台頭
• EV化加速と再考察
• マルチマテリアル
• サステナビリティ
太田事務所
コロナ禍を経験し、オンラインミーティングやリモートサポートが定着しました。便利になった反面、お客様の現場を見る機会は減りました。だからこそ、以前にも増してお客様とのコミュニケーションを大切にする必要性を感じています。今ではコロナ前と同等以上にお客様への訪問機会も増え、太田事務所での打合せ機会(含 雑談)も戻ってきました。
デジタル化が進んだ今だからこそ、直接顔を合わせて話す価値も改めて感じています。
設備面では少し老朽化も進んでいますので、もしかすると近い将来、移転のような明るい話もあるかもしれません。(その際、投資も差し入れも喜んでお受けしますので、ぜひお声かけください)
AutoForm
これまでAutoFormは主にAutoForm-Formingを中心にAutoForm-DieDesigner・AutoForm-Compensator・AutoForm-Sigma等の商品群が進化してきました。しかし近年は、成形単体ではなく、工程全体を対象とする商品群が拡充されています。
その代表例がAutoForm-DieDesignerPlus(以下DD+)・AutoForom-Assembly(以下Assembly)・CarBodyPlanner (以下CBP)です。
これまでの「作れるか?」を検討するだけではなく、「工程全体の品質を担保する」まで検証する時代へ変化しています。特にAssemblyは、車両全体の品質を組立工程まで含めて、事前に評価することを可能にします。これは、プレス成形部品単体だけではなく、最終製品としての品質を前工程で担保するという考え方です。言い換えれば、AssemblyとFormingを上手に運用することで、デジタル・プロセス・ツインを成立させます。またDD+は標準的な面品質の再考察をする機会も与え、今まで達成できなかったCAD工数の削減を達成します。CBPは信頼性の高い歩留まりと成形性評価を迅速に提供します。上記をまとめると、生産準備期間・コスト・品質・製品性能をデジタルで担保しようという、15年前にCDPPで描いていた世界に近づいていると感じます。
15年前、私たちが語っていたテーマは、プレス成型部品単体の成形性やスプリングバックでした。10年前は、量産品質やばらつきになり、そして現在は、単体の成形性だけではなく、組立や後工程を含めた全体最適へと関心が広がっています。
幸いなことに、AutoFormの商品群(含 今後のAI)もまた、その変化とともに進化を続けています。未来を予測することは簡単ではありませんが、次の5年、10年後に振り返った時、また新しいテーマが生まれているでしょう。その時もAutoFormがお客様の課題に寄り添いながら、安く早く高精度なモノづくりに貢献できると信じています。
【エピローグ】
技術の進歩や時代の流れは、思っている以上に早いものです。お客様の期待や要望も、自社商品の機能や新商品も、常に変化し続けています。次の15年を振り返る頃には、今回以上に多様で複雑な状況になっていることでしょう。その頃、私は時代に馴染めず(既に)ボケはじめ、定年を理由に後輩たちへ振り返りを託しているのでしょう。
太田支店
〒373-0851
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